風物死

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「八月は、死者の匂いがする季節である。」
~ 神奈川新聞(2008年8月13日付1面)

風物死(ふうぶつし)とは、日本において、毎年必ず特定の季節や時期に発生する「」の総称である。死亡事故殺人事件など、その死因は様々であり、死者数の規模もまた様々であるが、マスメディアによって広く日本全国に報道されることにより、人々に季節の到来や節目(季節感)を感じさせる役割を持っている。

このような現象は、四季のはっきりしている日本特有のものであることから、しばしば「日本の風物死」という慣用表現も用いられる。

なお、「死」そのものだけでなく、過去に発生した「死」について、翌年以降の死亡日(命日)にこれを思い出すことによって死者を悼む「追悼」や「慰霊」、あるいは、過去の死者を呼び戻す日時や墓参りの日時がによって定められている「お盆」や「お彼岸」などの年中行事も、広義には風物死に含まれる。

目次

[編集] 概説

水難事故での死体回収風景。夏の風物死のひとつである。
水難事故での死体回収風景。夏の風物死のひとつである。

わが国日本は、「」「」「」「」という4つの特徴ある季節をもつ、美しい国である。この4つの季節は、更に「二十四節気」(例えば「冬至」や「霜降」など)として細かな名称を持っており、太古の昔から人々はこれらの暦に従って、様々な年中行事を行ってきた。

しかし、それ故に、それぞれの季節に彩られた特有の事件・事故も多く、四季折々の死傷者が絶えない国でもある。また、台風集中豪雨大雪などのように季節特有の自然災害も多く、“自然災害の博物館”とも呼ばれている。更に、災害以外でも、様々な年中行事や、地域によっては祭礼でさえ、毎年数多くの死者が発生している。

私たち日本人は、これらの死を目にしたり、あるいはマスメディアなどで死が報道されるのに接することによって、例えば「ああ、今年もまた、雪山で人が遭難して死ぬ季節になったか。もう冬だなあ……。」とか、あるいは「お、もう御巣鷹山の山登り[1]か。もう夏休みも半分終わってしまったんだなあ……。」などといったように、季節の到来を感じることができる。

このように、季節の到来を告げる「死」を、日本では総称して「風物死」や「日本の風物死」などと呼んでいるのである。

また、ある死因を季節と関連付けて、「熱中症は夏の風物死」(≒熱中症で人が死亡したのを聞くと、夏になったことを感じる)とか「雪崩は冬の風物死」(≒雪崩で人が死亡したのを聞くと、冬になったことを感じる)という表現が用いられることもある。同様に、風物死を季語として数多くの俳句和歌も詠まれている。季節感と「ことば」を大切にする我が国独特の、風情ある文化である。

なお、日本は“安全な国”と名乗るだけあって、季節の趣きを全く無視した死が拳銃などによって年がら年中発生している某国に比べれば、1年間の死傷者数は少ない。日本国民は、季節に応じた正しい安全行動――例えば「冬山には登らない」「諏訪大社の御柱祭[2]には参加しない」など――を取ることによって、ある程度は自己の生命を守ることができよう。

[編集] 主な風物死

正月の風物死を伝えるテレビニュース。
正月の風物死を伝えるテレビニュース。
1月
2月
  • スキー場でイケないカップル遭難
  • 受験生による突発的ダイヤ改正・宙吊り・アイキャンフライ集中月間
3月
  • 免許取立ての若者が交通事故死
  • 学校での卒業式の後、わざわざ学校で人生の卒業式
  • お礼参りで集団暴行死
  • 悲願・ぼた餅
4月
  • 新歓コンパで急性アルコール中毒
  • 春の陽気とともに表れる人が、なぜか包丁を持っていた
  • 春の山をなめた軽装の人々による雪山惨禍合掌
5月
6月
7月
  • 水難の夏 日本の夏
  • 動きたくなくなる暑さの中、本当に動かなくなる老人多数
  • 歩道橋で行き軍vs帰り軍のバトル勃発し、空には景気づけに花火が咲き乱れる
  • その花火が地上爆発イリュージョン
8月
9月
10月
  • スーパーキノコかと思ったら毒キノコで中毒死
  • 道頓堀に入った人数と出てきた人数が合わない
11月
  • 山菜取りに行って熊に食べられる
  • うっかり外で寝て、それ以降寝っぱなし
12月


[編集] 風物死を詠った俳句

強調した部分が季語である。

四季が育んだ日本の山。山も、死者の匂いがする。
四季が育んだ日本の山。山も、死者の匂いがする。
春の句
  • とけて 村一ぱいの 仏かな
  • 菜の花忌 月は東に 司馬は死に
  • 御柱祭 つわものどもが 夢の跡
  • 春うらら 隣は何を する人ぞ
  • 五月病」(さみやまい 帰宅は早し もうダメだわ
夏の句
  • 激流や DQNのみこむ 川流れ
  • 夏の海 ひねもすゴハガバ ゲホゴボボ
  • 麻生祇園 そこのけそこのけ お馬が通る(馬出し祭)
秋の句
  • 土砂崩れ 岩からしみ出す 人の声
  • やれ打つな 虎○チ手を出す 足折れる
  • 紅葉に ボッと火の出る 山火事かな
  • 牡蠣食えば 腹が鳴るなり ノロウイルス
冬の句
  • 冬の山で 人は雪原 かけ廻る
  • 冬の浅間は ラーメン食えよと 父のごと

[編集] 風物死を詠った和歌

  • この世をば あの世とぞ思ふ 餅好きの 詰まりたること ありと思へば
- ああ、餅が喉に詰まることを考えると、この世もあの世に早変わりしてしまうなあ
  • クチナシの 老人暮らしは 独身の におうがごとく 今さかりなり
クチナシ(口無しとの掛詞)の花が咲き匂っているように、老人1人暮らしのアパートから、ありえない匂いが今まっさかりなことだ
 
  • ポン引きの 客取りの後の みだら後の ながながし夜を 一人かも寝む 
- 冬の夜に風俗店を出た酔客が、厳寒の中を寝てしまったよ
  • 宴会の 酔いもほろろに 飛ばす車 われてくだけて さけて散るかも

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

  1. 1985年8月12日日本赤軍に乗っ取られた日本航空の旅客機が、新潟県内の原子力発電所に突っ込もうとして誤って群馬県の御巣鷹山に墜落し、乗客の全員が死亡するという、自爆テロ未遂事件が発生した。翌年から、毎年8月12日には、被害者の遺族による御巣鷹山への“慰霊登山”が行われている。近年は遺族の高齢化により、登山で新たな死者が発生することもあり、これもまた一つの風物死となっている。
  2. 諏訪大社は長野県諏訪湖付近にある神社。巨大な棒に跨って急斜面を滑り降りることで、いかに凄絶に死ねるかを競う「御柱祭」は、日本三大奇祭に数えられている。


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