創刊号は特製バインダー付きで特別定価290円
魔法 | |
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創刊号は特製バインダー付きで特別定価290円 | |
一般特性 | |
分類 | 補助魔法 |
術型 | 呪文詠唱型 |
術式 | グリモワール |
属性 | 不明 |
効果 | 啓蒙効果の促進 |
使用制限 | 術者はデアゴスティーニと要契約 |
魔法特性 | |
効果範囲 | 詠唱を聴いた者全員 |
持続時間 | 対象が秘める魔力に比例 |
創刊号は特製バインダー付きで特別定価290円(そうかんごうはとくせいばいんだーつきでとくべつていかにひゃくきゅうじゅうえん)とは、補助魔法およびこの発動に必要な呪文の一種である。メカニズムの全容は未だ解明されておらず、事実上デアゴスティーニの秘術となっている。
詠唱方法[編集]
詠唱者は公共の電波を通じて当呪文をこの記事のタイトル通り1字1句ほぼ間違いなく愛を込めて唱えることで発動が開始される。日本語による呪文はイタリア語の原典を元にして定められたものである。唯一変更が許されるスペルは「特別定価」の後の金額のみである。だがこれにも標準定価の35%~50%という最適金額が存在し、この値が高すぎると効果は弱まり、また低すぎると瞬間的に過剰反応が起きてオーバーフローを起こしてしまう。
この魔法の最大の特徴は、デアゴスティーニと契約を交わした使い魔自身が詠唱するという魔法学の常識をやや逸脱した方法にある。使い魔はマグルでかつ美声を持った男の中の男であることが必須条件[1]である。若本規夫も候補の一人であり、現在実習中の身である。
効果[編集]
当魔法は、デアゴスティーニが編纂している複数巻にまたがる魔法書をあまねく広く行き渡らせようとする科学普及運動の素晴らしさを訴えたものである。他分野と同様、研究に莫大な資金が必要な魔法学研究所において、最先端の成果を情報公開することと引き替えに寄付金を得ることは至極真っ当な行為である。また将来のビジョンを見据えて寄付金の金額を一定の単位にし研究費調達の状況を把握しやすくすることも、金策そのものが目的と化すことを防ぐ手段である。
電波を通してこの詠唱を聞いた者全てを適用範囲とする。まず、デアゴスティーニの活動に社会的正当性が確立される。また同時に該当する各々の魔法書に記された魔法の性質によって様々な魅力がスクリーンを通して現出される。これら2つの作用は、対象となった者の精神を光悦状態にさせる。そしてサイエンスの素晴らしさを確信させ、ついにはお近くの書店にまで足を運ばせ該当の魔法書保有契約を結ばさせるのだ。
魔力ポテンシャルの高い者ほど強い効果を受けることが種々の実験で実証されている。このため日本では、魔法使いの入場が法的に禁止されている場所で、当魔法を応用して彼らを当該場所と反対方向へ誘引し立ち去らせるという試みが総務省によって計画されている。109やHEP FIVE、さらにはmixiがテストエリア候補地として挙がっている。
作用機構[編集]
イタリア魔法省は1990年、非営利魔法機関に魔術儀式の公開を義務づける法律を施行した。デアゴスティーニもコンプライアンスからこれを真摯に受け止め儀式の公開を行っている。それ以来、儀式内容を検証することによって当魔法の作用機構を解明する研究が盛んに行われはじめた。現在は使い魔契約の儀式における作用機構が明らかになっている。
使い魔契約[編集]
前述したとおりデアゴスティーニ所内のサモン管理者が使い魔候補と契約を結ぶ。156本の直線により構成された156の二角形による魔法陣が床に描かれている「権威の間」で行われる。管理者と候補は魔法陣を挟んで向かい合い、地中海は青の洞窟内で採取した海水を156リットル、魔法陣がある半球状の窪みに流し込む。
そして候補者は水で浸された窪みに全裸になって頭頂部まで入水し、その後出水する。これを156回繰り返す。候補者は入水時と出水時にそれぞれ1回ずつ脳内嫁[2]へ向けた様々な口説き文句[3]を自慢の美声を響かせて一言ずつ言っていく。候補者の入水の間管理者は候補に向かって白い粉をまぶし続ける。
156回の入出水が終わるころには、窪みに満たされた水の色は青味が薄くなっており、候補者はこれを全て飲み干す[4]。そして当呪文を詠唱初めし、儀式は終了する。なお、この際詠唱される金額はpriceless。
これら一連の所作によりネオ化学反応が起こっている。反応機構としては青の洞窟の海水であるさしすせ水色化サナトリウム(SaCo2(SH2))と、候補者から発せられる音、クオリ兄貴化音素(Ph4QuAnk2)、そして管理者がまぶす白い粉の主成分であるスペルマジカリウム(McSl)が、マグルのみが持つエロニウム分子(Er2)と156という数により生ずる純粋なハイディウム(Hy)の触媒作用によってスペル魔法転位、音素転位と脱さしすせ水反応が起き、さしすせ水素(SH2)、さしすせ水化スペルマジカリウム(SH2(McSl))、水音化色素(CoHPh2)と二音兄貴化クオリサナトリウム(SaQu2(AnkPh))を生じる。これらの物質は全て親水性で、さしすせ水溶液となり、候補はこの溶液を飲むことで、体内にスペルマジカルイオン(McSl-)を蓄積させ、使い魔となり呪文の詠唱をできるようになるのである。
この反応の化学反応式は以下の通りである。
詠唱[編集]
詠唱に関する作用機構は、まだ多くが明らかになっていない未知の領域である。
現在では詠唱の際に使い魔の歯茎から分泌される酵素に、歯周ポケットに棲む口内細菌が歯垢を分解して産生される多糖類が補酵素として働き、スペルマジカルイオンが関わる反応が行われているとの説が有力である。これを実証するためには使い魔の口内にある細菌と歯茎組織を採取する必要がある。しかし契約済みの使い魔の体内では、過剰に存在しているスペルマジカルイオンからマジカル兄貴化色素化合物が産生され、これが汗や唾液に混じって分泌される。これによりあらゆる研究者たちは使い魔の肌や口中を一目見ただけで各々の受け取り方で混乱してしまう[5]ので、分泌細胞の採取は未だ成功していない。
脚注[編集]
- ^ アニキータンの存在を根拠に艶女でも使い魔になれるのではないかという指摘がある。だが彼女らにとってサナトリウムは毒物であり、現在のところ候補者になる資格はない。
- ^ マグルである候補者には想起するのがやや困難な存在であるが、魔法使いは当節で述べているエロニウム分子を分泌できないため、そこは頑張ってもらうしかない。
- ^ イタリア語による原典では黒魔術祈祷書である『j3、愛は永遠ですわ…る』(古式若葉著 民明書房 1953年 ISBN 9380878774)に準拠したものと定めている。
- ^ 飲み終わるまでには1ヶ月もの期間を要するので、栄養補給のためさしすせ水溶液中にプロテインを加えることが推奨されている。
- ^ 混乱に至る感情としては、劣情や1/3の純情な感情もごく一に含まれる。
関連項目[編集]
- 常識的な枠組みを逸脱した能力を持つ使い魔という点で当魔法の術者と共通点があり、比較研究が盛んである。いずれも強力な触媒を用いるという共通点が見いだされている。
- デアゴスティーニの独占に歯止めをかけるべく理研と共同研究を実施した。和のサイエンスである禅と最先端の自然科学を融合した結果、無素とマジカリウムを主成分とするペプチドグリカンを媒体とした非詠唱型の魔法の開発に成功。標準定価が廉価なこともあってレベリウム不足にも関わらず健闘している。
![]() 本項は第4回執筆コンテストに出品されました。
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