アウルクリーク橋

出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
移動先: 案内検索

アウルクリーク橋とは、アメリカアラバマ州にある鉄橋。南北戦争時代は北軍と南軍が激突した激戦地となり、ここで頻繁に処刑が行われていたため、「北米のアウシュビッツですね」などと呼ばれている。

この橋で首吊り自殺、飛び降り自殺をすると、必ず走馬灯を体感できる上、時間では一瞬であるものの感覚的には1日近くも走馬灯を体感できるという風聞が、南北戦争時代から流布している。さらに、もし助かれば、感覚が鋭敏になり、頭脳が明晰化されて「哲人」になれるという。 その為、何をやっても駄目で社会から排斥された駄目人間の自殺志願者達の注目を集めており、アウルクリーク橋での首吊り、飛び降り自殺は恒常化してしまった。アラバマ州としては州のイメージダウンにも繋がるのでこれを防止したい一方で、アウルクリーク鉄橋は自殺の名所として半ば観光地化しており、そこから飛び降りて自殺する連中見たさに観光客がやってくる「金のなる木」でもあるので、看過してしまっている。

歴史[編集]

いつ頃架橋されたのかは分かっていないが、天才アンブローズ・ビアスの入念な調査により、南北戦争が始まる頃までには完成していたことは確実とされている。橋は緩やかなカーブを描いて、対岸同士を繋ぎ、その下には急流が流れている。片方の岸には青々とした森が広がり、反対側の岸には、北軍が前線基地として建造した堅牢な砦があった。

南北戦争の際、アウルクリーク鉄橋は北軍と南軍が激突する最前線となっていた。鉄橋は北軍の保有するところとなり、北軍の南進のための橋頭堡となったが、南軍は北軍の進路を妨害するべく、市民達を煽動して様々なテロ攻撃を行わせた。

最も頻繁に行われたのが、橋脚部分に蓄積した流木に対する放火であった。アウルクリーク鉄橋の下は急流となっており、上流から流れてきた流木が蓄積することが多い。南軍は、この流木に火を放つことで、鉄橋にダメージを与え、あわよくば倒壊させようとした。 特に乾燥が顕著になる冬場に放火をされると橋へのダメージはひとしお大きく、北軍は橋の修復の為に無駄脚を踏み、無駄金を費やすことになってしまった。

絞首刑[編集]

橋への攻撃を抑止するため、北軍はテロリストの検挙に血道をあげた。斥候を派遣して周辺を徹底して詮索させ、南軍に荷担する市民を虱潰しにさがした。 そして、テロの疑いで捕縛した連中に対しては、誰であろうと容赦の無い厳罰を処した。最も頻繁に行われた処刑方法は、罪人の首に鉄橋にくくりつけたロープを巻き、鉄橋から飛び降りさせて首を吊らせる絞首刑であった。絞首刑で処刑した人間は、そのまま首のロープを切断して橋の下へ落とす。敵の捕虜も、この方法でまとめて殺された。数百人を越す人間が鉄橋で首を吊って死に、橋脚には流木の代わりに死体が累積した。 死体の累積は、南軍と、それに賛同する連中への示威にもなったようで、以降、橋脚への放火はなくなった。

鉄橋で絞首刑により処刑されたものの中に、ペイトン・ファーカーという人物がいた。付近で農園主をしている比較的富裕な人物だったが、脇が甘く、北軍の斥候を南軍の兵士と勘違いして、自分は南軍に協力しているだの、北軍を蹴散らすにはどうすればよいかだの、あれこれベラベラと話してしまい、テロリストとして捕縛され、絞首刑で処刑された。そういう、間抜けな人間だった。

そんな間抜けなファーカーだが、首吊りによって死ぬまでのほんの一瞬に、驚くほど感覚が研ぎ澄まされ、頭脳が明晰になっていたことが、死後彼を迎えた地獄の裁判長(子安四季映姫様のどちらかなどはこの際どうでもいい話である)の証言によって明らかとなった。

ファーカーの奇妙な体験[編集]

死んだファーカーが裁判長相手に語ったところによれば、ファーカーは首を吊って死ぬまでの僅かな時に、不思議な体感をした。それは、首吊りのロープが外れて川に落ち、橋の上の兵士達からの銃撃を逃れて対岸の森に隠れ、自分目掛けて降って来る葡萄弾をかわしながら、鉄橋から飛び降りてからおよそ一日かけて妻の待つ自宅まで逃げ延びるというものであった。この「一日」というのはファーカーの体感による錯覚であり、実際は鉄橋から飛び降りて首を釣るまでの「一瞬」でしかない。

死の間際、研ぎ澄まされる思考[編集]

ありていに言えば、ファーカーの体感は、助かりたいという願望から生まれた単なる妄想である。 しかし、橋から飛び降り、首を吊って死ぬまでの僅かな間に、妄想とはいえファーカーはそこまでの思考を働かせた、錯覚とは言え、ほんの一瞬に、一日分の体験をするほど、ファーカーの思考は回転したのである。

ファーカーは、北軍の斥候と南軍の兵士と勘違いし、その兵士にあれこれ話をして捕まってしまうような間抜けな人間である。そんな間抜けな彼だが、死を迎えるほんの一瞬に、刹那の内に「一日分の体験をする」ほどの思考を働かせるまで、脳が鋭敏になっていた。この事実は、多くの人々を驚愕させた。

研究から誇張、喧伝へ[編集]

様々な見地から、ファーカーの死の間際の感覚の洗練についての研究が行われた。窮地に立たされた時に人間が発揮する 「火事場の馬鹿力」ではないかという見解が多かったが、それだけでは説明しきれない神秘性があった。 そして、ファーカーが首を吊ったアウルクリーク鉄橋は、人の精神を鋭敏にさせる霊性を含んだパワースポットなのではないかという仮説が生まれ、伝播した。伝播する途中で誇張されたり単純化されたりして、やがて、「アウルクリーク橋で首を吊るか、橋から飛び降り自殺を敢行すれば、死ぬ一瞬だけ天才になれる」という言い伝えが普及し、更に「もし助かれば、鋭敏化された思考はそのまま維持される、つまり、死んでも助かっても天才になれる」という尾鰭までついた。

そして自殺の名所に[編集]

こういう話が浸透してしまうともう止まらない。世界中から、要領の悪さゆえ社会で不器用にしか生きられず、貧乏籤ばかり引いている「自殺予備軍」とでも言うべき連中が集まり、アウルクリーク鉄橋で首を吊っていった。鉄橋周辺は南北戦争当時、北軍が橋で処刑を行っていた時以上に死体で充満するようになり、腐乱した異臭が溢れて周辺住民を多いに困らせた。一方で、自殺の名所や、そこで自殺する大量の自殺者みたさに観光客を誘致する結果ともなり、アラバマ州に経済的な潤沢を齎した。

実際この橋から飛び降りて頭が良くなった奴はいるのか[編集]

生きている我々にとっては検証のしようがない。ファーカーの一件ではうっかり口を滑らせてしまった地獄の裁判長も、もはや言うまいと硬く口を閉ざして何も喋ってくれないようだ。鉄橋で自殺を試み、運良く助かった奴もいたことはいたのだが、殆どは押し並べて後遺症で天才になるどころか逆に頭をやられてしまった。

よしんば、頭が良くなったとしても、アウルクリーク橋の「神通力」に頼って頭脳を洗練したことは「私は自力で思考力を鍛えられない卑しい奴です」と公言するようなものであり、頭の良さと引き換えに、一人の人間としての最低限の矜持、自尊心さえ失ってしまうのである。 他人任せの手段で、矜持と引き換えに手に入れた頭の良さなど、真の頭の良さとは到底言えないし、そんな頭の良さになど、寸毫の価値もない。

これは完全に余談だが、よく本屋に「記憶力が飛躍的に向上する本」「○○のことが一冊で分かる本」「○○がたったの数時間でマスターできる本」などを題名に冠した本がこれ見よがしに並べてあることが多い。そういう本が、この鉄橋にまつわるエピソードに比喩され「アウルクリーク本」または簡略して「アウクリ本」と呼ばれることがある。

関連項目[編集]